優しさと厳しさ

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 「あなたの友、あなたの父の友を捨てるな。あなたが災難に会うとき、兄弟の家に行くな。近くにいる隣人は、遠くにいる兄弟にまさる。 (箴言2710節)」

 国民的映画俳優の渥美清が演じた、「テキ屋(香具師)」が主人公で、名だたる女優たちが Madonna で助演していました。東京の柴又の「団子屋」を舞台に、フイと旅立ち、旅先でのマドンナたちとの出会いを描き、いつともなく帰ってくる筋書きでした。大変な人気映画だったのです。それなのに、一度も映画館で、私は観たことがありませんでした。ああ言うのは好きではなかったからです。

 そう、テレビで放映したものが人気を博して、映画化されたものでした。東宝映画の「男はつらいよ」です。山田洋次脚本、監督の作品で、倍賞千恵子が妹の桜を、その夫を前田吟、お父さんの兄弟を森川信が、隣人は太宰久雄が演じるタコ社長の印刷屋で、全部で48作が制作上映されました。

 そこには、「下町の人情」が描かれ、日本の古き良き時代の涙や笑いや人情が織り込まれ、塀や垣根や溝などで、家と家とが仕切られたりしてなくて、下駄をつっかけて行き来できる隣同士の心理的な近さがあったので、親しまれた作品だったのでしょうか。

 それは、もう失われてしまって、映画でしか見ることのできない、《日本の原風景》の一つと言えるでしょうか。ここ栃木市でも、地方の良さが残る街で、家内が散歩で出会うみなさんから、昔話や人の消息、現市長の逸話まで聞かされている様です。たまに煮物や野菜や庭花をいただいて、散歩から帰ってきます。それだけ、近くうるさく日本人は生きてきているでしょう。「優しさ」と「厳しさ」の中に人がいます。
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 実は、中国のネットに、「优酷youku」と言う sight  があって、その観方を日本語科の学生や留学生に教わりました。それで「男はつらいよ」を観ることができたのです。大陸で、日本の映画作品が観られたのです。授業で取り上げることはしませんでしたが、日本社会を伝えるためには、面白い情報源でもありました。先日、youtube で、「男はつらいよ お帰り 寅さん」をやっていて、つい誘われて観てしまいました。

 渥美清が演じた「寅さん」は、過去の映像の中から挿入され、今の倍賞千恵子や前田吟も、年相応の老け具合、この二人の子の吉岡秀隆も中年の小説家役で、年月の経過を見せて「令和版」が作られていました。やっぱり郷愁を誘う作品で、映画の中でしか見られない風景や人情が残っていました。

 子育て中のわが家にも、子どもたちの友だちがよく出入りしていました。ご飯を食べに来るツッパリに、快く焼きそばを作っては提供していたでしょうか。あの子たちもそろそろ五十代から六十代になろうとしています。家庭を持って、コロナ禍を過ごしているのでしょう。

 聖書の舞台は、宮廷や王宮、シナゴグや神殿などがありますが、多くは、路上だったり、庶民のお家であったり井戸端です。そこにいるのは兄弟、親子、親戚、隣人などで、人情的に切っても切り離せない交わりの世界です。人々の出会いや別離や再会が記されています。神さまがお造りになられた人のさまざまな生き方や価値観や世界観が、興味深いのです。人と人とを結ぶ最強の絆は、「隣人愛」だと聖書は語ります。
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