魅せられて

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 もう「早春」なのですが、「寒の入り」を迎え、厳冬の寒さの日本列島です。私たちの住まいは、関東平野の北の淵で、東京方面の右手に富士の姿がかすかに見え、左手に筑波の山並み、後方に男体山や日光連山や那須が控え、右手には、大平山や三毳山が手の届く距離にあります。小学唱歌に「冬景色」がありました。

1 さ霧(ぎり)消ゆる湊江(みなとえ)の
舟に白し 朝の霜
ただ水鳥の声はして
いまだ覚めず 岸の家

2 烏啼(な)きて木に高く
人は畑(はた)に麦を踏む
げに小春日ののどけしや
かえり咲きの花も見ゆ

3 嵐吹きて雲は落ち
時雨(しぐれ)降りて日は暮れぬ
若(も)し燈火(ともしび)の漏れ来ずば
それと分かじ 野辺の
 
 〈終の住処(ついにすみか)〉は、この歌の様な漁村でも農村でもなく、舟運で商都として栄えた街で、ここの郊外は農村です。日光ゆば、壬生干瓢、苺、林檎、梨、その他の農産物の産地で、稲刈りの終わった田圃には、契約のビール麦が植えられている、そんな田園風景が広がっています。

 最近では、畑の隅で「焚き火」でしょうか、煙が上がる光景をよく目にします。子どもたちを連れて、山の中で、枯れ木を集めて、火をおこし、その火が炭なった中に、持って行ったサツマイモを、濡れ新聞にくるんで入れて、「焼き芋」を何度かしました。「火の用心」を細心の注意でしながら、焼き芋を食べ終わって、たっぷりと水をかけて帰りました。焼き芋は、あれが最高に美味しかったのです。

 日本中に万葉の里があるのでしょう、ここにも、万葉集に読まれた里があります。

 しもつけぬ みかものやまの こならのす まくはしころは たかけかもたむ(「万葉集」巻14東歌)

 万葉の時代に詠まれた歌です。歌の意味は、『しもつけの三毳(みかも)山の小楢(小は添字または若木)のように可愛らしく美しい娘は、一体誰の笥(食物の器)を持つのだろう。すなわち誰の妻になるのだろうか?』という素朴な恋心を詠んだのだそうです。三毳山の辺りは楢の木の植生が見られ、宅配の牛肉がありますので、辺りで牧畜が行われている様です。

 「三毳山(みかもやま)」や、付近の山には、三月下旬から四月にかけて、「カタクリ」が咲いています。市内の北の方の星野地区に、遺跡があって、去年の春先に見学に行ったことがありました。そこは山里で、古代人は、それほど奥深い地に住居を造って住んでいたわけです。木の実や川魚が豊富で、自然の堡塁で住むに相応しかったのでしょう。そこにも「カタクリ」の群落がありますから、美しい野草に、古代栃木人は魅せられていたのかも知れません。

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