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「夫唱婦随」、ネットの辞書には、『夫が言い出して妻がそれに従うという意味の、中国『関尹子(かんいんし)』による格言。夫が言い出して妻が従い、オスが走ってメスが後を追い、オスが鳴いてメスが答えるのが天下の道理であると『関尹子』では説かれるが、現代では単に夫婦仲がよい形容として用いられている。しかし、「夫」も「婦」も音が同じ(中国語でも同じ)であるから、昔の聖人君子がいくら「女はでしゃばるな」と力説しても、現実としては「婦唱夫随」のほうが、仲のよい例えとしてはしっくりくるように感じられる。(CAS)』とあります。
「関尹子」の格言を、まるで、そのままをしている夫妻が、五日間の日程で、家内を見舞ってくださり、週末に、華南の街に帰って行かれました。知人の夫人の運転する車で、JR宇都宮線の古河(こが)駅まで送ってくださり、上野経由で成田空港まで行かれました。京都から訪ねてくださった若き友人が、私に代わって送ってくださったのです。
雪の降らない華南の沿海部の海辺で生まれ育った夫妻は、友人の案内で訪ねた日光の戦場ヶ原の降り積もった雪に、感動したのでしょう、ご主人は、幼い子供がするように、雪原の上に身を投げ出してはしゃいだのそうです。若い人たちの育成に当たっている彼らは、好き夫婦の《モデル》の様に慕われています。
今回も、話の輪の中で、夫人は、夫の語る言葉に頷き、小声でことばを加えておられました。多くの華人のみなさんには、ちょっと〈自信過剰〉の傾向が、日本で育った私には感じられのですが、このお二人は、物をはっきりと言うのですが、遜っておられるのです。お茶注ぎは、若者、しかも女性と相場が決まっている、私たちの社会ですが、私たちの客人が、テーブルを囲んでいるみなさんに、お茶を注いでおいででした。
何度も食事を一緒にしたのですが、夫人が、いつも後片付けを手伝ってくださり、食器洗いをし続けてくれたりでした。華南の街のこの方たちの家でしておられる通りに、わが家でもしてくださったのです。13年前に、天津の周恩来記念館を訪ねた時、結婚間近の若者たちが、そこを訪ねいました。周恩来夫婦が、《理想的夫婦》で、それにあやかろうとしての訪問だと、出会った若者たちが言っていました。
中国でも、夫婦や家庭の問題が、大きな社会問題となっていますから、周恩来夫妻も、今回訪ねてくだったご夫妻も、社会の混乱の中の《道標(どうひょう/みちしるべ)》の様に思われているのです。家内も私も大いに、この再会を楽しむことができました。もう「大寒」です。
(ご夫妻の出身の海辺の様子です)
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