青嵐

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今頃、吹く風を、「風薫る」と表現します。五月になって、ちょっと強目に吹くのを「青嵐」と言うのだそうです。これを、どう読んだら好いのでしょうか。"あおあらし"と訓読みにするか、"せいらん"と音読みにするかで、ずいぶんと、耳にした感じが違うのです。俳句や和歌を読むのには、訓読みが<五字>で好いのでしょう。

昨夕から降り始めた五月の雨は、ずいぶん強かったので、雨の降る音で、時々目覚めるほどでした。これでいよいよ緑が薫ってくるのでしょうか。先日、川越に用があって出掛けた折に、昼食をとろうと食堂に入りました。隣の男性が美味しそうに食べていたので、単純に影響されて、<かつお刺身定食>を注文してしまいました。家内は、<鯖焼き定食>でした。

"江戸っ子"が、奥さんを質に入れてでも食べたかった<初鰹>でした。<山育ち>だからでしょうか、中国帰りだからでしょうか、あるいは五月になろうとしていたからでしょうか、丼飯にのった<カツオ>が、ほんとうに美味しかったのです。高知に行きました時には、ニンニクのスライスをのせて食べたのですが、先日食べたのは、薬味なしで最高の味でした。

季節に合った食材で、食事をとる日本は、恵まれた国だと思う事仕切りです。明後日、五月五日は、「端午の節句」、「子どもの日」ですね。母の郷里から、毎年送られてきた「ちまき」の味が恋しくなり始めています。四人の男孫のために、精出して作って、郵便で送ってくれたのです。米の粉を蒸して、笹の葉で包んだもので、母が、それを蒸し直してくれたのです。笹の葉の匂いがしていました。

そういえば、去年は入院中で、同じ病室の方の奥さんが、「柏餅」を持ってこられて、お裾分けしてもらって食べたのです。中国の街でも、「端午節」には、「粽子」を、毎年いただき、冷凍庫に入らないほどです。ここも季節季節に、食べ物を贈り合ったり、子どもたちに食べさせるために、各出身地方の独特の味で作るのです。東アジアは、同じ食習慣を受け継いでいる様です。

人形町の通りに、「かしわ餅」の張り紙が、和菓子専門店の店頭に出ていました。明日あたり、買い求めて、友人に頂いた「新茶」を煎れて、味わう事にしましょう。さしもの雨も止んで、雲間から陽が射し始めてきました。日本橋も、風薫る五月の真っ只中です。

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