先週の金曜日に、「动车」の「和谐号 」に乗って出掛けました。中国バージョンの新幹線です。家内は初めての乗車でした。まだ開業していなかった時には、遠距離バスを利用しましたが、今回は、その三分の一ほどの所要時間ですみましたから、ずいぶんと便利になったのです。鄧小平氏が、1978年10月に訪日された折に、東京から新大阪まで、東海道新幹線に乗られました。その時の印象を、『後ろから、だれかが鞭を持って、私を駆り立てているみたいだ!』と語られたそうです。35年ほど前のことになります。今や中国の科学技術は驚くべき速さで高められ、欧米や日本を凌ぐほどになってきているのです。私も背中を押されるようにして、一時間ほどで、目的駅に到着したのです。
それは教え子の「結婚披露宴」に招かれての日帰りの小旅行でした。たびたび、我が家に来てくれた学生の祝福の席でした。卒業して、市内の日系企業に就職して、語学力を買われて、通訳の仕事をされていました。ある時、高校時代から気の知れたボーイフレンドを、我が家に連れて来て、紹介してくれたことがありました。家内が帰国中でしたので、<俄か男やもめ>の私のために料理を、彼がしてくれたのです。食材を手に下げての訪問でした。実に几帳面な調理で、とても美味しく頂いたのです。実に爽やかな青年でした。爾来、何度も二人で訪ねてくれました。
何時でしたか、『是非遊びに来てください!』と言われて、帰郷する彼女と一緒に新幹線で出かけたこともありました。二日ほど、ボーイフレンドの家に泊めていただき、市内を案内してくださったりで、彼のお母様の南方料理をご馳走になったのです。温かく迎えてくださったので、お父さまやお姉さまたちとも面識があったのでした。教え子のご両親と弟さんと一緒に食卓を囲み、談笑もしました。高台にある郷土の英雄の像や市内の名刹に連れて行っていただき、細やかな説明もしてくださったのです。南の人の優しさに触れたのです。
その宴は驚くほどのご馳走で溢れていました。フカヒレ、車海老、高級カニ、鮑、高級魚(同席の方が一匹500元と言っていました!)、デザートには「莲雾」と言う果物までも添えられていたのです。その他にも何種類もあり、このような料理は、生まれて始めて食しましたので、私たちの胃袋が驚いたに違いありません。心の籠った「おもてなし」に、心から感謝したのです。私の愛読書に、「喜ぶ者とともに喜べ!」とありますから、私たちも、この二人の門出を、心から喜んでお祝いしたのでした。
祝杯に少し酔われた新郎のお父さまが、『来てくださってありがとう!』と何度も何度も繰り返されたのをお聞きして、お祝いの席に連なることができただけではなく、お父さまに、そんなに喜ばれて、来た甲斐があったことを喜んだのです。親族の方でしょうか、駅まで送っていただき、予約してあった「和谐号 」に乗って帰宅の途につき、夕間暮れの駅に無事着くことができました。