「Chicken game(日本ではChicken race と言います)」、今年のMLBのDodgersの最終戦に、国歌斉唱の後に、グランドに向かって両チームから一人の代表選手が、マウンドに向かって立ち続けるゲームをしていました。最初に諦めた方が負けだったのです。そんな動画で、それがChicken game だと言うので、あるアメリカ映画を思い出してしまいました。Chicken とは「弱虫」の若者たちの slang 用語です。
中央線の国分寺駅北口の近くに、名画座がありました。学校をサボって、何度、映画を観に行ったか分かりません。中学生でした。だいたい仲のよい友人を誘って、制服を着たまま入館したのです。アメリカ映画に魅せられたからです。スクリーンに映し出されるジェームス・ディーンを観て、いっぺんに共感したからでした。
24歳のジミーが、ジムという17歳の高校生を好演した、「理由なき反抗」を観てでした。1955年10月26日に、アメリカで公開され、翌年春には、日本でも公開されています。当時の日本の社会に、アメリカ社会の50年代の十代の生態を描いた映画が、大きな衝撃を与えたのです。
引越しを繰り返していたジムの家族が、その街に引っ越して来たのです。家族とか兄弟とか両親の間、豊かさの陰に問題があったのでしょう。高校生のジムが主人公でした。酒を飲んで酔ってしまって、路上で寝ていたところを見つけられ、その日、まちで暴力事件が起こっていたので、その容疑者と疑われ、警官署に連行されます。
そこから始まって、不良に絡まれて、そのグループのトップのバズと、ナイフを持って対決するのです。そんな諍(いさか)いがあって、街外れの崖に呼び出されます。そこで度胸試しを挑戦されるのです。二台の中古車に、それぞれ乗って崖に向かって爆走するゲームです。
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先にブレーキを踏み、運転席を飛び出し、そして死んだ方が負けという、度胸と運転スキルを賭けたレース、それを” Chicken game“ と呼ぶのです。実に無謀なgameでした。〈危機の中二〉だった私は、それを観て度肝を抜かれたのです。ずいぶん心理的にはタイトなゲームでした。この良い子ではない、不良に何か憧れがあった時期だったのですが、アメリカの高校生のレースに度肝を抜かれて、びっくりしたのです。
game中に、競争相手のバズのジャンバーの袖だったと思うのですが、何か突起に引っかかって、脱出できなくなって、断崖の底に車ごと落ちて死んでしまう、実に悲しいレース結果で終わるのです。自分は度胸のある男だと自負していましたが、その場面を見て、自分を置き換えては震えてしまったのです。もちろん映画で演出された場面ですが、アメリカでは、そんなことをすることに驚かされたわけです。
度肝を抜かれたのは、ジムも同じで、しでかした重大さに身を潜めて、空き家に隠れるのです。そう言ったところを通りながら、ジムは、更生していき、家族とも和らぎ、普通のアメリカ社会の高校生に戻る、そんな物語でした。どこの国でもありうる青年期の危機を通過して、人は大人になっていくのでしょうか。
まだ日本では、ジーパンを履いているのは稀だったでしょうか。その映画で、ジムたちが履いていたのが、”Levi’s” 製の物でした。それを真似したくて、御徒町のアメ横の商店街に出かけて行って、そこで買ってきたことがありました。チキンレースの真似はしなくても、とりあえず格好だけはつけたかったのです。まだ14歳、そろそろヒゲもうっすらとしてきた時期でした。
学校や近所のみなさんを、このバカ息子はハラハラさせていたようです。まさに、今言われるように「中二病」に罹っていたのです。中3になって、担任が三学期末に成績表に、『よく立ち直りました!』と書いてくれました。そんな時期を通過しながら、憐みで生きて参りました。
(ウイキペディアによる「理由なき反抗」の写真、旧型のアメリカ車です)
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