庇う

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このところ歌えなくなってしまった歌があります。北原白秋の作詞、中山晋平の作曲の「あめふり」です。大正14年(1925年)に発表された童謡です。

あめあめ ふれふれ かあさんが
じゃのめで おむかい うれしいな
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン

かけましょ かばんを かあさんの
あとから ゆこゆこ かねがなる
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン

あらあら あのこは ずぶぬれだ
やなぎの ねかたで ないている
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン

かあさん ぼくのを かしましょか
きみきみ このかさ さしたまえ
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン

ぼくなら いいんだ かあさんの
おおきな じゃのめに はいってく
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン

7月に入って、梅雨の雨が続き、その降雨量も未曾有の数字を表し、そこかしこに多大な災害をもたらしています。被害がひどかった久留米は、家内の母の生まれ故郷、日田は、青年期に出会った女性の出身地、人吉は、最初の職場の上司の出身地、ですから無邪気に、『ピッチピッチ チャップチャップ ランランラン!』などと、軽快に歌えなくなってしまいました。被災、罹災をされたみなさんが、再び立ち上がれます様に祈念しております。

そんな自然災害の中、自分の子を1週間も一人に置き去りにして、旅行をして、育児忌避した母親が、その子を死なせたと言う、衝撃的なニュースが報じられていました。自分を産み育ててくれた母と、四人の子を産んで育ててくれた家内のことを思い返して、『どうして?』と思ってしまいました。《子育てのモデル》猫の母性本能の強さを、次の様に記しています。

『猫は母性本能が強い動物と言われています。女性は出産を経験すると、自然に母性本能が出るように、猫も出産をすると体内のホルモンの変化から母性行動を見せます。
出産をした母猫は子猫のそばを一時も離れません。

子を守るためなら、自分を犠牲にもします。母猫が一人前になるまで育て上げる母性行動は、本能的に強いと言われています。猫は、一度の出産で1~9匹の複数を産む『多胎動物』と言われています。反対に牛や馬は、一度の出産で1匹しか産まない『単胎動物』で自分の子と他の子を見分けて一生懸命育てます。

反対に猫は、一度に複数の子を育てる為に厳密に子を見分ける事はしないのです。なので、自分が産んだ子以外の面倒を見たり、他の動物の世話ができると言われています。(HP「ねこちゃんホンポ」から)』

この歌の歌詞の様に、蛇の目を持って出迎えてくれるほど慕うべきお母さんが、そんな仕打ちをしたことは、悲しい、と言うよりもやりきれない思いです。息絶え絶えで寝ている私の脇で、夜通し、何日も何日も看病してくれた母がいて、今の私があります。我が儘いっぱいの私を、女であることを置いて、母であってくれて、そのまま受け入れて、目を細めて、死にかけたバカ息子を愛してくれたのです。

退院後も、昼前に、魚の挽き売りのおじさんが来ると、決まって、マグロの刺身を、母が買ってくれました。これで体力をつけて、回復して行ったと思うのです。兄たちや弟には食べる機会がなく、私だけに食べさせたのです。まだ三十代前半の母は、その刺身に箸をつけることはありませんでした。我が儘の死に損ないの私を、そうやって庇(かば)いながら看病してくれたのです。

(歌川広重の浮世絵です

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