敬意

 

「船頭さん」という童謡があります。歌詞は戦中版と戦後版があるのです。戦時色の強い歌詞は、戦後にふさわしくなかったので、詞が変えられたわけです。

村の渡しの 船頭さんは                                                                                                                         今年六十の お爺(じい)さん
年はとっても お船をこぐ時は
元気いっぱい櫓(ろ)がしなる
ソレ ギッチラギッチラ ギッチラコ

雨の降る日も 岸から岸へ
ぬれて船こぐ お爺さん
今朝(けさ)もかわいい 仔馬(こうま)を二匹(にひき)
向う牧場(まきば)へ 乗せてった
ソレ ギッチラギッチラ ギッチラコ

川はきらきら さざなみ小波(こなみ)
渡す にこにこお爺さん
みんなにこにこ ゆれゆれ渡る
どうも御苦労(ごくろう)さんと いって渡る
ソレ ギッチラギッチラ ギッチラコ

《補作前の二番と三番の原詞は次のとおり》

雨の降る日も 岸から岸へ
ぬれて船こぐ お爺さん
今日も渡しで お馬が通る
あれは戦地へ 行くお馬
ソレ ギッチラギッチラ ギッチラコ

村の御用や お国の御用
みんな急ぎの 人ばかり
西へ東へ 船頭さんは
休むひまなく 船をこぐ
ソレ ギッチラギッチラ ギッチラコ

私は、五十九になった時に、この歌を、実感を込めて歌いました。独身を楽しんでいて、子どもたちが晩婚だったので、ちょっと遅めに「お爺ちゃん」になったからです。きっと父も上の兄に子どもができて、自分が「お爺ちゃん」になった時に、そう感じたのでしょう。そして六十になった時には、「船頭さん」の歌詞の替え歌を自分一人で口ずさんだのです。

子どもの頃にお会いした「お爺さん」は、ずいぶんと年寄りの感じがしたので、自分も、そう見られているのだと感じてしまったのです。どうすることもできなかったのは、こちらに来まして、バスに乗ったた時、若者や中年の方が、スッと立って、席を譲られる時でした。『不要buyao』と断ろうとしたのですが、これは《敬意》なんだと分かって、『谢谢xiexie!』と感謝して、その席に座ったわけです。

最近、この「六十の船頭さん」に比べて、この<万年青年>を嘯(うそぶ)く私は、少々元気が足りなくなってきているかも知れません。先週の木曜日、実家のない私の次男夫婦が、木曜日の夜から、《生きてる実家》である私たちを、三泊四日で訪ねてくれ、今朝の国際便で、日本に帰って行きました。昨日、息子夫妻は、知人が昼食に招いてくれ、高級中華料理をご馳走になり、その後、「古街」を案内してもらっていました。息子は5回目、嫁は初めての中国訪問でした。とても好い印象を、中国と中国のみなさんに、この二人は持った様です。

こんなことを書き込んでいたら、雷が鳴り始めて、雨が降り始めました。暑い一日の夕べ、少し涼しくなってきそうです。明日は「中秋節」、子どもたちは、三連休で大喜びしています。もう涼しい秋になるでしょうか。でも、<台風24号>が、台湾と大陸とに来つつありますが、沖縄にも向かいそうです。(9月22日夕べ記)

.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください