『通釈ー楚の国の人で盾と矛を売る者がいた。この人はこれを誉めて「私の盾は頑丈で、貫くことのできるものはない」と言った。また、矛を誉めて「私の矛は鋭くて、どんなものでも突き通すことができる」と言った。ある人が「あなたの矛でその盾を突き通したらどうなるのですか」といった。商人は答えることができなかった。 解説ー「何でも突き通す矛」と「どんな攻撃も防ぐ盾」の二つがあるというのはおかしい。なぜなら、「何でも突き通す矛」が本当ならば「どんな攻撃も防ぐ盾」はウソになるし、その逆の場合は矛のほうがウソになるからである。このように、つじつまの合わないことを「矛盾」と言うようになったのはこの話による。』とです。
こちらの海外教育学院で、中国語を学んでいた時に、「故事成語」という科目を学んだ中に、この「矛盾」がありました。この世の中、矛盾が多くあるようです。釜山のある施設に、日本原産の木の「カイズカイブキ」が、日本統治時代に植えられ、今まで、そのまま植えられてあったそうです。ところが日本統治時代を思い起こすような物を、植えて置くのを不快に思ったのでしょう、海浜の防風林のために、先頃、移植してしまった、そうニュースが伝えていました。
日本への憎悪が、それほど強く、長く持ち続けているのには驚かされてしまいます。日本人は、戦争後、アメリカ軍が進駐してきた時に、<昨日の敵>のマッカーサー司令官を大歓迎したのです。ここが日本人の不思議さなのでしょう。それなのに、70年も経つのに、この韓国のみなさんの憎悪を、私は理解できないでいます。
大韓民国江原道華川郡の北漢江に、「華川ダム(ファチョンダム)」があります。このダムは、日本統治時代の末期に、日本の手で建設された物で、それ以来、現在に至るまで稼働し続けて、電力を供給しています。そればかりではなく、洪水被害から下流域を守る役割も果たしているのです。でも釜山の一画にある庭の「カイズカイブキ」を憎悪の対象としながら、このダムを日本統治時代の代物として、憎悪しないのは、「矛盾」ではないでしょうか。
俗に、『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い!』と言いますが、同じ血を継ぐ人は憎んでも、ダムやソウル駅や慶州駅などは、その時期に作られているのに、撤去したり、破壊したりはされていないのです。日本車を壊したり、日章旗を焼いたり、何の罪のない物品に、憎しみを向けるのも大人気ない事です。私には、素晴らしい韓国人の友人が何人かいます。人格高潔な人たちです。彼らからは、そういった憎悪の思いを感じたことはないのです。何時か、互いがハグし合えるようになりたいものです。
この朝鮮半島に咲く、「木槿(ムクゲ)」が、私は大好きです。大韓民国では、この花が「国花」だそうです。派手さや強烈さのない白い木槿を、ずっと眺めていた事が、以前、ありました。横須賀の出身で、自分は、『鎌倉武士の末裔なのだ!』と自慢していた父が、「アリラン」を歌っていたのを覚えています。
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