ラブレター

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「三行ラブレター」というコンテストを、「日本語文章能力検定協会」が毎年行っています。両親や友人や先生、恋人や恩ある人にあてて、愛や感謝を、三行の短い文章で書き表すのです。少ない言葉で表すというのは、実は大変難しいのです。

私が読んだ「ラブレター」の中に、一行で三文字のものがありました。南極越冬隊に行った夫に当てて、その妻が書き送ったものです。

『あなた』

これを受け取った夫は、三文字に込められた、奥様の愛情、愛慕、会いたいとの切々たる思いを深く感じたことでしょう。結婚という契約の中で交わされる夫婦の感情が、これほど深くて、一万語を持って書かれた恋文に勝って、真実な愛が込められていることに、驚かされてしまいます。言葉を駆使して、意思の疎通ができるのは人間だけだということを、改めて思わされています。

ここで、先週、日本語科の三年生に書いてもらった「三行ラブレター」を、四編ご紹介しましょう。

父さんが作れる たった一つの料理
中国料理の特に卵焼き
どんな料理よりも優しい味 (お父さんへ)

もらった命、もらったやさしさ
きつく叱られた幼き日々も 贈り物だったんだ
本当にありがとう (お母さんへ)

お天気予報
最初にあなたの住む街を見ます
今日はあたたかくなりそうですね (友だちへ)

午前中ずっと私の歩く道路に沿って探していて
ただ、私の服から落ちたボタンのためだったと知って
涙が止まらなかった  おばちゃん ありがとう (おばあちゃんへ)

なかなかの秀作です。日本語を学んでいる学生たちがいて、今すべきことに懸命なのが嬉しいのです。

(写真は "WM”による目玉焼きです)

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