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切迫状況下で、人心が乱れ、荒れ、定まらなくなっているのでしょうか。と言うのは、先週、カインズホームに買い物に行った時に、今まで経験しなかったことがあって、驚いたり、呆れたりしてしまったからです。
街中の創業店が、昨年の台風で洪水になって閉店に追い込まれ、ちょっと遠い町外れにある、その支店も、洪水で壊滅的な被害を受けながらも、しばらく閉店のままでしたが、新装なって営業してるので、いい気持ちで自転車で出掛けたわけです。
カインズの隣に、JAしもつけの加盟店が、野菜や果物などを売っているコーナーがあって、時々、そこで買うのです。店に入ったら、『ジジイ、5メートル離れろ、近づくんじゃあねえ!分かんねえのか、クソジジイ!!』とまくし立てながら、すれ違って行きました。ヤクザ風のおじさんかと思いきや、五十代半ばの、多分女性だと思うのですが、ここはスコットランドではないので、スカート姿の女性だったのです。
そう言われてみて、〈ジジイ〉なのは確かですが、誰か他のジジイに言ってるのかと思ったら、後ろには誰もいないので、自分に言ってたのです。うるさいなと思いながら、トマトときゅうり、そしてつきたてのお餅を買ったのです。それで、何かめぼしい物がないか見てたら、店員さんが二人、『ごめんなさいね!ひどいこと言われて。あの人いつも、あんななんですよ!本当にごめんなさい!』と言って、代わって謝られたのです。よっぽど、私が腹を立ててるかと気にして慰めてくれたのです。
ところが、泰然自若、腹を立てないし、言い返さないでいる私を見て、『なんて、心の広い人でしょう!』と感心されてしまったのです。他の人に言ってると思って、後ろを向こうとしたのですが、〈心が広い〉なんて初めて言われて、悪い気持ちはしないものですね。栃木市民が嫌いになろうとしていた私を、栃木人贔屓に快復してくれて、嬉しくなったのです。
若い頃に、妬まれて女性に悪態をつかれたことが一度ありました。穏やかなお袋とか家内と違う女性がいるのを発見したのです。〈春風駘蕩〉の心地よい春が来て、コロナ禍で心を乱した方の悪態も気にならない、〈馬耳東風〉の五月の私です。
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