家内が風邪をひきました。と言うよりは、先にひいていた私が移してしまったといったほうがいいでしょうか。外国での罹病は、少々不安なものですが。平熱36度以下の彼女が、38.7度の発熱と咳と下痢も併発していました。寝込んでいるのを知った友人が、次女くらいの年齢の一人の男の子のお母さん(元看護師さんです)と一緒に見舞ってくれたのです。お湯で体を拭いてくださったり、『泊まって看ます!』と言ってくださいました。結局、『今晩、様子をみましょう!』ということで、11時過ぎに帰えられました。ところが朝になっても熱が下がらなかったのです。友人から電話があって、『昼過ぎに迎えに行きますので、病院に行ってみましょう!』と勧めてくれました。迎えの車に乗せていただいて、市立第二医院(中国では大病院を医院と呼びます)に到着。この病院の母胎は、旧イギリス陸軍病院だそうで、諸外国が旧中国の多くの都市で、教育や医療や衛生や福祉事業に、どんなに精一杯に事業を展開していたかが伺えて、深く考えさせられました。
付き添いは、このお二人の他に、もう一人は屈強な、長男と同じほどの年の男性が来てくださって、家の門から、ずっと家内の腕をとって支えてくれたのです。この4人で、戸板ではなかったのですが、20世紀の利器・自動車に家内を乗せて、医者を訪ねたことになります。西洋医薬品にアレルギーがある家内ですので、診察の結果、お医者さん(中国では「大夫」といいます)が、『省立の中医医院に行ったらどうですか!』と勧めてくれましたので、そちらに車で動きました。そこで血液検査とレントゲンを撮りました。ウイルスの感染はないとのことで、中国漢方の薬を処方していただいて、帰宅しました。その薬を、煎じてくれるとのことで、家に持ち帰り、土鍋で煎じて家に持ってきてくれました。今朝も、またとどけてくれたのです。
以前、日本にいましたとき、家内は、多くの病人を家や病院に訪問し、お世話をする機会が多かったでしょうか。『ほっとするんです!』という方々は、家内の助けや、一緒にいてくれることを歓迎していました。そういえば、この1~2年、日本からお米や缶詰や佃煮、様々な日用品を送ってくださる方がいます。郵便料金をみますと、毎回12000円ほどの金額になっています。大きな犠牲を払って、日本の味に飢えを覚えているだろう私たちを、喜ばせようとしてくださるのです。この方も、家内がお世話させていただいたお一人です。昨日は、『恵が、人によくしてきたから、他所の国に来て、こんなに大きな愛や親切を受けてるんだよね!』と、家内に言ってしまいました。
福建省普江市(厦門の近くの海辺の町です)の漁船船長の逮捕、釈放。日本の準大手ゼネコンの会社の社員の逮捕、拘留、解放など、中日の間が、少しギクシャクしている昨今、我が家のテラスにも、瓦礫が放り込まれたりしていました。そんなこんなの国慶節の休みにもかかわらず、時間と労力をさいて、愛を示してくださる、こちらの友人たちに、大きな感謝を覚えた次第です。薬でしょうか、愛の力によるのでしょうか、『素麺と大根おろしとみかんとトウフが食べたい!』と、この数日食べていなかった家内が、食欲を見せてきました。一瞬の不安は、「友情」がかき消してくれたようです。明日は、ほかの友人がご主人と二人で、家内を見舞ってくれるそうです。一味違った「国慶節」のすばらしい連休です。そういえば、家内が食べた素麺も、このご婦人が送ってくださったものでした!